同軸ケーブルの仕組みを解説|高周波電気信号を伝送するための方法・構造とは?

英語では「Coaxial cable」または「RF Cable」などと呼ばれている同軸ケーブルは、日本では主にケーブルテレビの回線や、回線を流用したインターネット接続などに使われています。
その他、アンテナで受信した映像・音声信号の自宅への引き込みや監視カメラの内部配線など、高周波電気信号(RF)を伝送する用途で幅広く使用されている同軸ケーブルですが、具体的にはどのような仕組みで信号の送信を行っているのでしょうか。
そこで今回は、同軸ケーブルとアンプ、タップ、HFC機器など周辺機器のリサイクル・リユースを行うクリエイトジャパンが、同軸ケーブルが信号を送る仕組みについて解説していきます。
目次
仕組みの前に要確認!同軸ケーブルの内部構造について
同軸ケーブルの仕組みを理解するには、その構造についても理解しておく必要があります。そこでまずは、同軸ケーブルの内部がどのような構造になっているのかについて説明していきます。
同軸ケーブルは、同心円状に一定の間隔で4つの層を重ねた多層構造が基本になっています。
具体的には、中心から中心導体(内部導体、または芯線とも)、内部絶縁体、外部導体、外部被覆の4層を重ねたつくりになっており、それぞれが異なる役割を果たしているのが特徴です。
4つの層のうち、電気信号の伝送を行っているのは、同軸ケーブルの中心に配置された中心導体です。材料には軟銅と呼ばれる銅線、または銅線を複数本より合わせた撚線が使われることが多いですが、性能向上を目的にアルミやすずでメッキを施した銅線が使われることもあります。
中心導体のすぐ外側に、中心導体の固定と伝送損失の低減、そして特性インピーダンス維持の役割を担う絶縁層として配置されているのが、内部絶縁体です。発泡ポリエチレン等の樹脂で作られる内部絶縁体は、この後に紹介する外部導体、外部被覆とともに伝送中の信号が漏洩したり、外部から電磁波等の干渉を受けることがないように中心導体を保護する機能を果たしています。
内部絶縁体の外側には、中心導体で伝送した電気の帰り道となり、さらに内部絶縁体、外部被覆とともに中心導体を保護する外部導体が配置されています。材質としては、編組(へんそ)と呼ばれる細い銅線を編み上げた金属繊維が使われるのが一般的ですが、シールドとしての効果を高めたい場合は、編組の代わりにより遮蔽性の高いアルミ箔や銅管が使われることもあります。
そして、同軸ケーブルの最も外側にあって、外部導体までのケーブル本体を気温・湿度の変化や紫外線、施工時にかかる圧力などの物理的なダメージから保護しているのが、外部被覆です。シースやジャックとも呼ばれる層で、ケーブル全体の耐久性を向上させる役割を担っています。
【関連記事】「同軸ケーブルの基本構造とは?代表的な用途や構造上の特徴についても解説」
同軸ケーブルにおける「特性インピーダンス」とは
ここでは、構造の説明で出てきた「特性インピーダンス」とは何か、簡単に紹介していきます。
インピーダンスとは、電流が流れる時に生じる抵抗のことです。同軸ケーブルが電気信号を送る際に生じる抵抗はΩ(オーム)の単位で表され、日本においては、用途ごとに最適化されたインピーダンスで高周波電気信号を伝送することが求められます。
具体的には、テレビ用であれば75Ω、無線通信用であれば50Ωが特性インピーダンスに定められているため、同軸ケーブルを使用する際にも、用途に合わせた特性インピーダンスのものを選ばなければなりません。同軸ケーブルを選択・購入する際の注意点として、覚えておきましょう。
なお同軸ケーブルの特性インピーダンスは、同軸ケーブルの品番から確認することができます。
日本で使われることが多い同軸ケーブルの規格には、「JIS規格」と「MIL規格」の2種類がありますが、それぞれの規格における特性インピーダンスの見分け方は、以下の通りです。
JIS規格の場合 | 数字横のアルファベットが「C」か「D」か。
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MIL規格の場合 | RGの後の数字が「58」か「59」か。
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【関連記事】「同軸ケーブルの代表的な規格・種類を解説|基本情報や選び方のポイントも」
同軸ケーブルが電気信号を伝送する際の基本的な仕組み

同軸ケーブルがどのようなつくりになっているかがわかったら、ここからは、同軸ケーブルが電気信号を送る仕組みについて見ていきましょう。
同軸ケーブルは、中心導体を通る電気の電圧を変化させることによって電気信号を伝送します。
「中心導体を流れる電流の圧力の変化」という形で伝えられた情報が、受信先で音声や映像といった電気信号として再処理されることによって、信号の伝送が完了するという仕組みです。
ただし、同軸ケーブルを使って電気信号を伝送するには、「同軸コネクタ」と呼ばれるパーツを使って同軸ケーブルと電気器具を接続しなければなりません。
またこの時、受信先への電気の往路となる同軸ケーブルの中心導体と同軸コネクタの中心コンタクト、そして電気の復路であり、グランドアースとなる同軸ケーブルの外部導体とコネクタ本体の2箇所がそれぞれ接続していないと、信号を伝送することができないので注意が必要です。
同軸ケーブルにおける伝送の仕組みと併せて、同軸ケーブルを使った電気信号の伝送には同軸コネクタと電気機器への接続が欠かせないことも、覚えておくとよいでしょう。
【関連記事】「同軸ケーブルとは?何に使う?主な使い方や特徴などの基礎知識をまとめて解説」
伝送の仕組みからわかる同軸ケーブルの強みとは?
ここからは、信号伝送の仕組みから見る同軸ケーブルの強みについて、代表的なものを2つ紹介していきます。
特性インピーダンスのおかげで信号の反射が少ない
先述した通り、同軸ケーブルを使う際には用途に合ったインピーダンスのものを選ばなければなりません。また同軸ケーブルだけでなく、同軸コネクタも用途・ケーブルと同じ特性インピーダンスのものを選んで、インピーダンス整合を取った上で接続、使用することが求められます。
そのため、同軸ケーブルを使った信号の伝送時には、信号の発信地点から通り道、送信先まで、原則として特性インピーダンスが一定になります。
特性インピーダンスが一定になれば、信号に反射や歪みが生じにくくなるため、安定的かつ効率的に信号を伝送・通信できるようになるのです。
電気信号の損失が少なく、効率よく伝送できる
軸を同じくする複数の層で構成される同軸ケーブルには、内部からの信号漏洩や外部からの電磁波干渉などが起こりにくく、また、高周波信号の伝送時には電流が中心導体の表面近くを流れる表皮効果(スキンエフェクト)が起こり、信号が損失しにくくなるという特徴があります。
このように、特性インピーダンスの維持以外にも、効率的な信号伝送に役立つ仕組み・機能を持っているところも、他の電線にはない同軸ケーブルならではの強みの一つと言えるでしょう。
同軸ケーブルと周辺機器のリサイクル・リユースに関するご相談は「クリエイトジャパン」へ

私たちクリエイトジャパンは、同軸ケーブルの買取と回収、リサイクルに取り組む会社です。
また同軸ケーブルの買取と再資源化以外にも、以下のような品物について有価物として買取・回収するとともに、必要としている方のもとへ届ける再利用化事業にも注力しております。
- 同軸ケーブル、引き込みケーブル、SSFケーブル
- アンプ、タップ、PS関連、ヘッドエンド設備、端末機器
- バッテリー、保安器、モデム、STB など
なお光ケーブルなど、一部買取対応できないものもございます。そのような場合は、産業廃棄物として当社で運搬・処分対応することも可能です。
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