同軸ケーブルの代表的な規格・種類を解説|基本情報や選び方のポイントも

規格とは工業製品などの材質、形状、寸法、品質等を標準化するための取り決めのことです。
同軸ケーブルにも代表的な規格として「JIS規格」と「MIL規格」の2種類があるため、用途や使用環境に合った適切な種類を選ぶには、規格の概要や品番を知っておく必要があります。
そこで今回は、同軸ケーブルやその周辺機器であるアンプ、タップ、PS等のリユース・リサイクル事業に取り組むクリエイトジャパンが、同軸ケーブルの規格について解説していきます。
代表的な規格である「JIS規格」「MIL規格」の概要や特徴、違いはもちろん、それぞれの規格の製品のうち、日本で使われることが多い種類も紹介していくので、参考にご覧ください。
目次
同軸ケーブルの規格を理解するための基本情報まとめ

まずは、規格や品番の見方を理解する上で知っておくべき同軸ケーブルの基本情報について、確認していきましょう。
同軸ケーブルとは、高周波の電気信号(RF)を効率的に伝送するために使う電線の一種です。
具体的な用途の例としては、映像や音声の高速通信が求められるケーブルテレビなどの回線、またその回線を利用したHFC方式のインターネット通信、無線通信等が挙げられるでしょう。
その構造は、軸を同じくする中心導体、内部絶縁体、外部導体、外部被覆の4層が一定の間隔で配置された入れ子のようになっており、各層の厚みや材質、硬さによってケーブルの機能性や耐久性を変えられるという特徴があります。各層の基本的な役割としては、以下の通りです。
中心導体 | 同軸ケーブルの中心にあって、電気信号を伝送する役割を担う層。内部導体や芯線などと呼ばれることもある。 |
---|---|
内部絶縁体 | 中心導体を覆う絶縁層。中心導体の固定、そして伝送損失の低減とインピーダンスの維持を担う層であるため、厚みに反比例する形で伝送時の損失が減る。 |
外部導体 | 内部絶縁体の外側に位置する、同軸ケーブルのグランドアースとなる部分。 中心導体を流れる電気信号の漏洩や、外部から他の信号や電磁波が入り込むのを防ぐシールドの役割を果たしている。 |
外部被覆 | 最も外側に配置された保護被覆で、シースとも呼ばれる層。同軸ケーブル全体の耐久性を大きく左右する層で、他の信号や電磁波だけでなく、天候による気温・湿度の変化や、物理的なダメージからケーブルを守る役割も担っている。 |
なお上記の表に出てくるインピーダンスとは、同軸ケーブルが電気信号を送る際に生じる抵抗のことです。日本では高周波数で信号を伝送する際のインピーダンスを最適化することが求められるため、同軸ケーブルも用途に合ったインピーダンスのものを使わなければなりません。
このように用途ごとに最適化されたインピーダンスのことを「特性インピーダンス」と言い、テレビ用では75Ω、無線用では50Ωに定められています。同軸ケーブルは、品番をもとに特性インピーダンスを読み解き、用途に合った種類を選ぶ必要があると覚えておきましょう。
【関連記事】「同軸ケーブルとは?何に使う?主な使い方や特徴などの基礎知識をまとめて解説」
同軸ケーブルの選び方とポイント
同軸ケーブルの選び方としては、まず用途、そして接続する機器を基準に適した特性インピーダンスと周波数帯域のものを選び、その中から使用環境に合った太さ、硬さの種類を探すのが一般的です。
なお同軸ケーブルは、外径が大きくなるほどシールド効果や耐久性が高まり、電気信号の減衰量が少なくなりますが、柔軟性が低下するため施工しにくくなってしまいます。一方で外径が小さくなると信号の遮断効果は下がりますが、ケーブルが細くなって扱いやすくなります。
この点も、用途や使用環境に合わせて同軸ケーブルを選ぶためのポイントとして覚えておくと良いでしょう。
代表的な同軸ケーブルの種類「JIS規格」について
ここからは、同軸ケーブルの代表的な2種類の規格について、それぞれ説明していきます。
日本国内における代表的な同軸ケーブルの規格として、まず挙げられるのが「JIS規格」です。
日本産業規格に基づいて製造されたJIS規格品の同軸ケーブルは、仕様が細かく決められているため互換性が高く、特定の環境で使用した場合に高い信頼性と安全性を発揮するところが特徴です。
数字とアルファベットから成る品番記号は左から順に以下のような情報を表し、品番を見れば、同軸ケーブルの材質や構造、適した用途等について大まかにわかるようになっています。
一番左の「S」の有無 | 衛星放送に対応しているかどうかを表す。 (※数字の前に何も記載がない場合は、衛星放送に対応していないケーブル) |
---|---|
「5」や「4」などの数字 | 絶縁体の外径のこと。5なら絶縁体外径が約5mmということになり、ケーブル全体の太さや減衰量を把握するのに役立つ。 |
数字横の「C」または「D」 | 特性インピーダンス記号。「C」ならテレビ用の75Ω、「D」なら無線通信用の50Ωであることを表している。 |
右から2番目の英数字 | 絶縁体に使われている材質を表す記号。具体例は以下の通り。
|
一番右のアルファベット | シールド(外部導体と外部被覆)の素材と組み合わせを表す記号。具体例としては、以下の通り。
|
例えば「S-5C-FB」という品番の同軸ケーブルは、以下のような機能・材質の製品となります。
- 衛星放送に対応
- 絶縁体の外径はおよそ5mm
- 特性インピーダンスはテレビ用の75Ω
- 内部絶縁体の素材は発泡ポリエチレン
- 外部導体は編組とアルミ箔の二重構造、外部被覆はビニール製
なお、日本のケーブルテレビやインターネットの接続においては、主に5C・7C・8C・12C・17Cの5種類が使われることが多いです。また、同じ品番であっても外径や減衰量はメーカーによって微妙に異なりますので、詳細はケーブルメーカーに問い合わせるようにしてください。
代表的な同軸ケーブルの種類「MIL規格」について
に「米軍MIL規格」や「ミルスペック」、「RG形ケーブル」とも呼ばれる「MIL規格」について紹介していきます。MIL規格とは、アメリカ軍の調達物資のためにアメリカ国防総省が定めた規格のことであり、日本においてもJIS規格とともに、同軸ケーブルの規格として広く知られています。
その特徴としては、防衛や航空宇宙、医療等さまざまな分野で使用できるようにシールド部分や内部絶縁体などの仕様に関して厳しい基準が設けられていることが挙げられるでしょう。
なおMIL規格の品番記号は、左から順に以下のような情報を表しています。同軸ケーブルの特性を示す記号であるという点ではJIS規格と同じですが、数字が外径等ではなく型式を表すなど、異なる部分もあるため、品番を確認する際には注意が必要です。
頭の「MIL-C-17」 | MIL規格に準拠した同軸ケーブルであることを表す。 |
---|---|
「RG」 | 「Radio Guide」または「Radio frequency coaxial cable General purpose」の略で、ケーブルのタイプを表す。 |
「58」や「59」等の数字 | 同軸ケーブルの直径や特性インピーダンス等の情報を表す型式番号。数字は制定順になっており、「58」のインピーダンスは無線通信用の50Ω、「59」はテレビ用の75Ω。 絶縁体やケーブルの太さを表す数値ではないため、要注意。 |
型式番号の後の数字やアルファベット | リビジョン(バージョン)を表す付与記号と用途を表す文字の組み合わせ。「A」は初期のバージョン、「B」はその改良型であることを表し、規格が変更される度に更新されていく。 なお「U」は用途を表し、「Universal(一般用途)」の意味。 |
例えば「MIL-C-17 RG-58A/U」という品番の場合は、以下のような同軸ケーブルであることがわかります。
- MIL規格に沿って製造された同軸ケーブル
- 特性インピーダンスは50Ωで、無線通信に適している
- リビジョンは最初期型で、用途は一般用途
ただし、付与記号の違いによって生じる材質・機能・サイズの差異は、メーカーや製品によってかなりばらつきがあります。導体や絶縁体の素材や、ケーブルの外径等について詳しく知りたい場合は、メーカーまたは販売企業に問い合わせた方が安心でしょう。
同軸ケーブルと周辺機器のリサイクル・リユースに関するご相談は「クリエイトジャパン」へ

私たちクリエイトジャパンは、同軸ケーブルの買取と回収、リサイクルに取り組む会社です。
また同軸ケーブルの買取と再資源化以外にも、以下のような品物について有価物として買取・回収するとともに、必要としている方のもとへ届ける再利用化事業にも注力しております。
- 同軸ケーブル、引き込みケーブル、SSFケーブル
- アンプ、タップ、PS関連、ヘッドエンド設備、端末機器
- バッテリー、保安器、モデム、STB など
なお光ケーブルなど、一部買取対応できないものもございます。そのような場合は、産業廃棄物として当社で運搬・処分対応することも可能です。
設備の保守や切替工事等のために、ご不要になった同軸ケーブルやケーブルテレビの周辺機器などがございましたら、リサイクルとリユースの豊富なノウハウを持ち、全国対応にて有価物の買取と回収を行う私たち「クリエイトジャパン」に、ぜひお気軽にお問合せください!