同軸ケーブルとは?何に使う?主な使い方や特徴などの基礎知識をまとめて解説

同軸ケーブルとは、主に電気信号を伝える・届ける役割を担っている被覆電線の一種です。
さまざまな地域や家庭に電気信号を届ける同軸ケーブルは、現代の便利で快適な生活に欠かせないものの一つですが、その機能や特徴、種類などは一般的にはあまり知られていません。
そこで今回は、同軸ケーブルとアンプ、タップ、PSといった周辺機器のリユース・リサイクル事業を行うクリエイトジャパンが、同軸ケーブルとは何か、わかりやすく解説していきます。
自社で扱う同軸ケーブルの用途や特徴、構造、種類、処分方法の選択肢などの基礎知識について改めて確認しておきたいという通信事業者様、工事会社様は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
同軸ケーブルとは?主な使い方・用途を紹介
まずは、同軸ケーブルが具体的に何に使うためのものなのか、改めて確認していきましょう。
被覆電線の一種であり、英語では「Coaxial cable」または「RF Cable」と呼ばれている同軸ケーブルは、主に高周波信号(RF)の伝送に使われています。用途の具体例としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 地上波やケーブルテレビにおける映像、音声の信号の高速通信
- テレビのアンテナや受像機、その周辺機器への電気信号の伝送と給電
- 電気信号をテレビ受像機から自宅などの室内へ引き込むための配線
- ケーブルテレビの回線を使ったHFC方式のインターネット通信
- 監視カメラなど、高周波信号の伝送が必要な機器内部の配線
- その他、音声信号や映像信号、マイクロ波信号の伝送 など
上記の通り、同軸ケーブルは放送機器やネットワーク機器、無線通信機器、電子計測機器などに接続、または内蔵して幅広く活用されています。
特に日本においては、テレビの電気信号の受信や周辺の放送機器への給電、またケーブルテレビ回線を使ったインターネット通信のための電線として使われているケースが多いでしょう。
同軸ケーブルの基本的な構造と伝送の仕組みとは?

ここからは、同軸ケーブルの基本的な構造と電気信号を伝送する仕組みについて説明していきます。同軸ケーブルの機能や特徴を理解するための参考として、ひと通りご確認ください。
同軸ケーブルを構成する4つの層とは
同軸ケーブルは、基本的に中心導体、内部絶縁体、外部導体、外部被覆の4つの層を同心円状に重ねた入れ子状の構造になっています。求められる機能性や耐久性等により、層の数や構造は変わることもありますが、基本となる4層の役割や各層に使われることが多い素材の例としては、以下の一覧にまとめたようなものが挙げられるでしょう。
中心導体 (内部導体、芯線とも) | 同軸ケーブルの中心に配置され、電気信号を伝送する役割を担う層。銅線や、銅線にメッキを施したものが使われることが多い。 |
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内部絶縁体 | 中心導体を包む絶縁層。発砲ポリエチレンやフッ素樹脂、テフロン等を使うのが一般的で、以下のような役割を担っている。
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外部導体 | 内部絶縁体の外側に配置された導体。細い銅線を編み上げた編組、またはこれにメッキを施したものや銅箔、アルミ箔、銅パイプ等が使われており、主に以下の2つの役割を果たしている。
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外部被覆 | 同軸ケーブル本体を他の電気信号や外部環境、物理的なダメージ等から守るための保護被覆のこと。シースとも呼ばれている。 素材としてはポリ塩化ビニルやポリエチレン、樹脂等が一般的。 |
ちなみに、日本における「同軸ケーブル」という呼び方も、この特徴的な構造を表したものだと言われています。こちらもケーブルの基本構造と併せて、覚えておくと良いでしょう。
同軸ケーブルが電気信号を伝送する仕組みとは
同軸ケーブルは、同軸コネクタというパーツを使って各種の放送機器等の装置(電気器具)と接続することにより、高周波の電気信号を伝送できるようになります。もう少し具体的に表現すると、ケーブルとコネクタの以下2箇所を接続することで、信号の伝送が可能になるのです。
- 同軸ケーブルの中心導体と同軸コネクタの中心コンタクト
- 同軸ケーブルの外部導体と同軸コネクタの本体
電気信号を送信するには、送信側と受信側をつなぐ経路上に、電気の行き道と帰り道の両方を設定しておかなければなりません。同軸ケーブルと同軸コネクタを使って高周波の電気信号を伝送する場合は、上記の「中心導体と中心コンタクトの接続」が行き道に、そして行き道と軸を同じくする「外部導体と同軸コネクタ本体の接続」が帰り道となって、信号を送信します。
伝送の大まかな仕組みとしては、まず中心導体にかかる電圧を変化させることにより、信号を受信先へ伝えます。中心導体の中心部ではなく、表面近くを通って効率よく送られた信号は、受信側に到達した後に高周波電気信号として再処理されて、信号の伝送が完了するのです。
同軸ケーブルの特徴・利用のメリットとは?
同軸の層が一定の間隔で複数配置されている同軸ケーブルには、伝送している信号が外部に漏れにくく、かつ外部からの信号や電磁波の侵入・干渉を遮断しやすいという特徴があります。
また同軸ケーブルを使用する際には、用途に合った特性インピーダンスのケーブルを選び、ケーブルと同じ特性インピーダンスの同軸コネクタを使って接続しなければなりません。
具体的には、テレビ用では75Ω、無線用では50Ωが特性インピーダンスとなり、用途に合わせて同軸ケーブルと同軸コネクタのインピーダンス整合を取って使うことが求められるのです。
このような同軸ケーブルの構造や特徴、また使い方のルールから考えられる同軸ケーブルを使って通信を行うことのメリットとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 中心導体がしっかり守られているため伝送効率が上がりやすく、伝送損失を下げやすい
- 多層構造のため柔軟性があり、他のケーブルに比べて屈曲性が高く、曲げ施工しやすい
- 外部被覆に守られているため、気温や湿度、天候の変化への高い耐久性が期待できる
- インピーダンスが一定になるため信号の反射や歪みが生じにくく、伝送が安定しやすい
同軸ケーブルを利用する上での注意点
電線の中でも比較的柔軟性が高く、曲げたり、固定具等で押さえつけて施工することに強いとされる同軸ケーブルですが、中心導体と外部導体の間隔が極端に狭くなると特性インピーダンスが崩れ、通信ケーブルとしての機能を果たせなくなってしまいます。
同軸ケーブルを取り扱う際は、正常に信号を伝送できる最小半径(曲げ半径)に注意して施工する必要があると覚えておきましょう。
同軸ケーブルの種類と選び方とは
ここからは、同軸ケーブルの代表的な種類と一般的な選び方について順に説明していきます。
同軸ケーブルにはさまざまな種類がありますが、このうち、特に日本で使用されることが多い種類としては以下の2種類が挙げられるでしょう。
JIS規格の同軸ケーブル | 日本産業規格に沿って製造、また型式表記される種類のこと。 品番の具体例としては「S-5C-FB」などが挙げられ、それぞれの英数字は衛星放送の対応可否や特性インピーダンス等を表す。 |
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MIL規格の同軸ケーブル | アメリカ軍の調達物資における規格に沿って製造、また型式表記される種類のこと。別名は「米軍MIL規格」「ミルスペック」。 品番は「MIC-C-17 RG-58A/U」などがあり、数字はインピーダンスやケーブル径、アルファベットは用途やリビジョンを表す。 |
なお、同じケーブル径やインピーダンスであっても、その後にくるアルファベットや製造メーカーにより、絶縁体やケーブルの外径、またケーブルが持つ機能や耐久性が変わってきます。
同軸ケーブルを購入・設置する場合は、規格に関わらず各製品の品番とその意味をよく確認した上で、自身の用途や設置場所の環境に合ったものを選ぶようにしてください。
同軸ケーブルの基本的な選び方とは
先述した通り、同軸ケーブルには用途ごとに特性インピーダンスが設定されているため、設置する際にはまず用途に合ったインピーダンス、または周波数帯域を把握する必要があります。
用途に合ったインピーダンス、または周波数帯域が明確になったら、それに合わせたコネクタの種類を選択し、想定される使用環境からケーブルの材質や太さ、硬さを検討してください。
同軸ケーブルは有価物!リサイクルする方法とは

日本において、主にケーブルテレビの信号受信やケーブルテレビ回線を使ったインターネット通信に使われてきた同軸ケーブルですが、近年では光ケーブルへの切り替えが進んでいます。
光回線への切替工事のために撤去し、不要となった同軸ケーブルは、これまで産業廃棄物として処分するのが一般的でした。しかし実は、お金をかけずに処分する方法もあるのです。
その方法とは、リサイクル可能な有価物として、専門業者に回収・買取してもらう方法です。
主に金属と樹脂から作られている同軸ケーブルは、ケーブルとしては不要になっても資源としての価値を持つ有価物であるため、以下のような流れでリサイクルすることができます。
- 専門業者が無料で回収に伺い、同軸ケーブルの状態や量に応じた金額で買取
- 機械を使って丁寧に破砕した後、人の手で樹脂、銅、アルミの原料ごとに選別
- 原料別にそれぞれ裁断を重ねていき、細かなナゲット状にしてから出荷する
同軸ケーブルを使った通信設備の保守や、光ケーブルへの切替工事で出た不要な同軸ケーブルをお金をかけず、有価物として処分したいという通信事業者や工事会社の方は、同軸ケーブルのリサイクルに対応する業者に回収や買取を依頼することも、積極的に検討しましょう。
「不要な同軸ケーブル」も捨てずに活かす。クリエイトジャパンの事業内容はこちらから!
同軸ケーブルと周辺機器のリサイクル・リユースに関するご相談は「クリエイトジャパン」へ

私たちクリエイトジャパンは、同軸ケーブルの買取と回収、リサイクルに取り組む会社です。
また同軸ケーブルの買取と再資源化以外にも、以下のような品物について有価物として買取・回収するとともに、必要としている方のもとへ届ける再利用化事業にも注力しております。
- 同軸ケーブル、引き込みケーブル、SSFケーブル
- アンプ、タップ、PS関連、ヘッドエンド設備、端末機器
- バッテリー、保安器、モデム、STB など
なお光ケーブルなど、一部買取対応できないものもございます。そのような場合は、産業廃棄物として当社で運搬・処分対応することも可能です。
設備の保守や切替工事等のために、ご不要になった同軸ケーブルやケーブルテレビの周辺機器などがございましたら、リサイクルとリユースの豊富なノウハウを持ち、全国対応にて有価物の買取と回収を行う私たち「クリエイトジャパン」に、ぜひお気軽にお問合せください!